すばる法律事務所 Subaru law office

東京都中央区銀座1丁目
東京弁護士会・第一東京弁護士会所属

すばる事務所通信

私たちの事務所は、
市民の味方を
モットーにしています。

11.6.6号 「お金は何が起きても支払わなければならない?」

  民法改正の動きがにわかに現実味を帯び始め、法務省の諮問機関である法制審議会での議論が重ねられ、各地で任意の勉強会やシンポジウムが頻繁に開催されているようです。

  私自身は、改正についてはまだまだ勉強を始めたばかりといったところですが、立法当初想定されていなかった社会状況の変化が生じ、社会実態に必ずしもそぐわない規定が存在していることからすると、民法に手を加えるという大まかな方向自体は正しいものと思われます。

  今回の震災に関連し、ある規定について、改正が必要であると強く感じたものがあります。

  民法419条3項という条文は、金銭債務について、「債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない」として、何があっても遅れは認められないと定められています。この条文によれば、例えば借金の返済などは何があっても期日までに支払われなければならないことになるのです。

  しかしながら、今回の震災では、着の身着のままで避難された方も多数おられたでしょうし、通帳や印鑑を失い、直ちに銀行から預金を引き下ろすことができなかったという方も少なくなかったはずです。

  このような状況で、借金等を期日どおりに支払えというのが酷に過ぎることは明らかでしょう。

  また、今回の震災の直後、振込の集中により、某メガバンクではシステム障害が起き、決済が一時滞るという事態も発生しましたが、このような場合でも、支払の遅れの責任を免れないというのも、やはり酷な話です(もっとも、このような場合には、いくらなんでも延滞の責任は負わないという考え方もあるようです)。

  今回の震災を受けて、銀行や貸金業者も被災地の方に対し、(各社によって対応はまちまちとはいえ、)期日や利息の猶予に応じており、金銭債務も不可抗力によって履行できないことがあるということは、むしろ社会常識に十分適った考え方であると思われます。

  419条3項の合理性については、阪神・淡路大震災でも問題になったようであり、改正の検討課題としてもあがっているようですが、同項を削除するという結論の方が国民の賛成を得やすいのではないでしょうか。(大菅)



 

お電話でのお問い合せは
フリーダイヤル 03-5159-6633
受付:平日9:00〜18:00(土日祝祭休)
すばる法律事務所

フォーム