すばる法律事務所 Subaru law office

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すばる事務所通信

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10.9.28号 特捜検事の逮捕

 障害者団体向けの郵便料金の割引制度が悪用されたいわゆる郵便不正事件では、障害者団体であることを証明する内容の虚偽の証明書を作成したとして起訴された当時の厚労省の担当課長に無罪判決が言い渡され、世間の大きな注目を集めました。

  この元担当課長の事件では、公判において、検事が作成した供述調書の大半が、検事の誘導によって作成されたものであることを理由として証拠能力が否定されるという異例の展開を見せていましたが(従前、検事が作成した供述調書は、裁判所によって容易に証拠能力が認められてきました)、これに止まらず、捜査を担当した地検特捜部の検事が押収したFDの更新日時を改ざんしたとして逮捕されるという衝撃的な展開に発展し、上層部へも責任が及びそうな様相を呈しています。

  検事の誘導によって供述調書が作成されることには全く驚きません(刑事事件を受任すると、このような実態が垣間見えることはしょっちゅうです)。しかし、証拠物に手を加えていたことには、さすがに少なからず驚かされました。

  報道されている事実関係からは、今回の事件の背景の一つとして、検察庁内の人事評価が強く影響しているように感じています。例えば、私が学生時代や修習生時代に関係者から聞いたところでは、無罪判決が出されると、担当検事の名前及び無罪判決が出た事実が全国の検察庁に知れ渡り、担当検事は出世コースから外れ、地方の任地をたらい回しにされることがあるそうです。反対に、否認している被疑者を自白に転じさせること(検察庁内では、「割る」と呼ばれています)が、評価の大きなポイントであるようであり、修習時代、指導担当の検事から、過去の有名事件の被疑者を「割った」武勇伝を自慢気に聞かされたことがあります。今回逮捕された検事も、「割り屋」などと呼ばれ、上司には高く評価されていたそうです。

  今回の件も手伝って、今後は、検事作成の供述調書の証拠能力や信用性が争われる場面が増えてくることが予想されますし、裁判所も、今までのように、検事作成の供述調書を簡単に信用しなくなるかもしれません。特に、一般の国民が参加する裁判員裁判に与える影響は少なくないものと思われ、検事の作成した供述調書よりも、目の前の公判での供述がより重視されるようになってくることも十分に予想されます。(大菅)

 

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